気 付 き 洪 貴杓 ホン キピョウ 貴杓は、口を一文字に強く結び覚悟を決めました。仏様の目をすがる様に 見つめながら、降りる瞬間をさがしていました。ついに来た瞬間であるが、 恐怖と意気込みで心が震えていました。そして、静かに貴杓は、降りました。 「なぜ、貴杓が降りたのかと言うと、この世の時間で言う数年前に 過去世の自分の行いを思い出したのです。過去世の自分の行いを思いだすと、 貴杓は己の残虐性や弱さずるさ汚さに、心を叩きのめされました。 取分け残虐性については、何一つ言い訳のできるものは有りませんでした。 『どうしよう、どのようにして償えばいいのか。どの様にして謝れば、 どの様にお詫びをすればいいのか。』と毎日考えては、泣き崩れていました。 その上、余りにも多くの人に残虐な行いをしたために、 お詫びをする相手も特定できません。どの様にすればいいのか、 毎日毎日考えても当然何の結論も出ません。 ただ、申し訳ない、自分が情けない。そんな思いで数年を過ごしました。 そんなある日、貴杓の前に仏様が現れ『お詫びのお手伝いをしようか』 と言われました。貴杓は、すがる思いで 『私が、ひどい目にあわした方々におわびをさせて下さい。 どうかあやまらせて下さい。そしてひどい目に合わせた方々に 償いをさせて下さい。』と言うと泣き崩れ、謝り続けました。 その様子を半眼で見つめておられた仏様は、言われました。 「貴杓よ、娑婆世界へ再び行け。そして、償え。償い方は、 『常にお詫びと感謝の気持ちを持ち生活しなさい。そして、娑婆世界での生活も あるので、まっとうに働いたお金の一割でいいから、私に供えよ。 お前が迷惑をかけた人々を一人残らず捜し出し、お詫びとしてそのお金を渡そう。 それぐらいしかお前が償える方法はない。しかし言っておくぞ。 いくら償いの行いをしたとしても犯した罪は消えない。 ただ、お前にできることは、お詫びの気持ちを身を持って娑婆世界のお金を 持って償うことだけである。この事を理解し実行するならば、 娑婆世界で少しいい生活もして、楽しい事も味わって来なさい。』」と言われました。 そして、また来ると言って消えられましたが、消える直前に一言付け加えられました。 『この説明は、過去に何度もしたぞ。』貴杓は、また思い出しました。 前回もまたその前も、そのずっとずっと前も、お詫びに娑婆世界に行きながら、 その度に、お詫びなど全くせず再び悪行をくり返しここに帰って来ていました。 その事を考えると涙があふれて止まりませんでした。それから何日も何日も 今度こそは繰り返さないと念じながら、念じながら過ごしました。 そして、ある朝仏様が、『少し話そうか』と言われ、川沿いを歩きました。 そして仏様は、貴杓に聞かれました。『今回は、どんな家に生まれるか。 金持ちがいいか、そうでない方がいいか。』すると貴杓は、今までは、金持ちの家に 生まれ、仏様との約束を思い出さずに一生を終えてしまったので 今回は、仏様との約束を思い出せる家に』と答えました。 すると一瞬に景色が変わったと思うと仏様と貴杓は、雲の上にいました。 そして、仏様は、『さあ、行ってきなさい。今度こそ頑張れよ。』と言われましたが、 憶病者の貴杓は、中々降りられません。しかし仏様が、『お詫びをしないのか』と 言われると貴杓は、心を決め仏様を見つめながら娑婆世界に降りるつらさと お詫びの機会を与えられた感謝の気持ちの混ざった心で降りて行きました。」 と言うわけで降りたのです。 貴杓は、4才までは、因縁が出ず可愛い可愛い子供でしたが、 五才の頃から因縁が出て来てワルガキになり始めました。 と言うのも母以外の周りの人々は、悪因縁により悪行を行うため、 生まれた時は真っ白だった貴杓の心はしだいに黒く染められていきました。 というよりも貴杓の因縁により悪行を行う人が周りに集まるので 心が黒く染められていくのでした。自然とそして大きくなるにつれて、 過去世の因縁が出て来て貴杓は、因縁の海に引きずり込まれて行きました。 しかし悪因縁に引き落とされながらも仏様の加護の元、お使いの人々のおかげで 貴杓は、14才になりました。そしてこの頃から貴杓の心には、 時折『なぜ生まれて来たんだ。この世に何をしに生まれて来たんだ。』と いう問いかけが始まりました。しかし、目先の喜びを追い、自分への問いかけに 対する答えを探そうとしませんでした。それでも仏様の御加護により、 約束を果す道へ戻れる範囲で横道にそれる事や道草を許されながら、 現世の幸せ探しを始めました。。それでもやはり因縁が、邪魔をして願いは ほとんどかないません。仏様も力を貸したいのですが、貴杓の本当の願いが、 お詫びである以上誓いに気付いて実行する日を早く迎える手助けしかできません。 『早く気付け、まだ解らないのか』と言う思いで見守る以外有りませんでした。 仏様は、因縁により辛い思いを何度もする貴杓に『早く気付け、まだ解らないのか』 というメッセージを送りながらずっと見守っていました。 しかし、中々気付きません。そして33才の時本気でなぜ生まれて来たのか、 この世に何をしに来たのかの答えを見つけるための修行が始まりました。 この年から8年間のつらいつらい気付きへの旅が始まりました。 様々な先生を捜し、これが最後と思い、インドに行った貴杓は、聖者から大きな波動を いただき少しずつ感じ始めました。それでも貴杓は、まだ気付きません。 そして、もう一人だけと思い、ある庵主(あんじゅ)さんの元に行きました。 そして、日々行き詰まりを感じながら教えを乞う内に気付きへの軌道に乗っていました。 つまり、もう時間の問題という所まで貴杓が来たのです。 その事を確認をすると庵主さんは、亡くなられました。 庵主さんは、最後の弟子を導いた事を確認して仏様の元に戻られたのです。 しかし、軌道に乗っている事も何も解っていない貴杓は、 困り果て庵主さんの友だちのもう一人の庵主さんを訪ねました。 そして、すでに軌道に乗っていた貴杓は、生き詰まりを感じながらの生活をしながら、 新しい庵主さんの指導の元、ついに『なぜ生まれて来たのか。 そして、何をしにこの世に来たのかを思いだし、確信をし、41才と6ヶ月を迎えました。 今後は、『感謝と懺悔の気持ちと共にお詫びのお金と身を持って仏様に 仕えるという事を実践する事を誓い、そのためだけに生きて行きました。』 合 掌 『お詫びと感謝と先祖供養』 合 掌